この曲集はフランス宮廷時代18世紀から19世紀初頭まで、当時活躍した作曲家による鍵盤楽器のための優れた作品集です。

1730年クープランから1811年エレーヌ・モンジュルーに至るまで、初めて出版する作品を含め30人の作品30曲を厳選し紹介されています。
ピアノ学習の過程で、まだ世に知られていない作曲家たちのピアノ作品に出会う時、私たちはその作品を正しく評価できる能力を身につけたいものです。我が国にはフランスにおける当時の作曲家について、クープラン、ラモー、グルックやダカンの他にあまり知られていないようです。しかし優れた作曲家とその作品はまだまだ限りなく埋もれています。
当時はバッハ一族やハイドン、モーツァルトの時代、フランスでもエラールによる新楽器の発表、1795年の国立高等音楽院の創設、そしてアダンの「ピアノ教則本」をもって現在のピアノの前身フォルテピアノが完成、その後ショパンの時代から現代の楽器の完成へ導きます。
この曲集ではそうした鍵盤楽器の歴史をふまえ、「チェンバロのための作品、「チェンバロまたはフォルテピアノのための作品」、そして「フォルテピアノのための作品」から厳選し、現在私たちが使用している完成された楽器「ピアノ」での演奏に沿うよう、装飾音符やフレージング、演奏法について校訂・解説されています。楽器の発展による作曲家の創作への挑戦と作品の変化を実感しながら、お楽しみください。

収載曲